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1998 年 11 月 21 日 (土曜日)


朝 7 時に起床した。昨日もこんな感じで早起きだった。夜は夕飯を食べたらホテルに戻って 11 時には寝ているので、この時刻に起きるのは楽勝だ。朝の支度を済ませた後、近くのデリで朝食を取った。デリとはデリカテッセンの略称で、ニューヨークではごく普通に見かける食料品店兼カフェテリアのことだ。韓国人経営の店が多いそうで、今日入った店も韓国人らしい人が働いていた。支払いはクレジットカードでしたかったのだができなくて、現金で払うことになった。おかげで手持ちの現金がほとんど尽きてしまった。トラベラーズチェックを現金化する必要があるが、今泊まっている安ホテルでできるのかどうか確認していないし、できても額に限度があるはずなので、一番良いのは買い物をしてトラベラーズチェックで支払うことである。そうすれば手数料もかからない。ただ今日は朝一番でアメリカ自然史博物館に行くつもりなのですぐに現金が必要だ。ホテルに戻るのは面倒なので銀行か両替商を見かけたらトラベラーズチェックを現金化しよう。そう思って街をどんどん北上していったのだが開いているところは見つからなかった。この時刻ではさすがに無理か。このままではセントラルパークに到着してしまう。自然史博物館はこの公園に隣接しているのでこれ以上ずんずん進んでも現金化する機会はない。そこで右に曲がってきょろきょろと辺りを見渡しながら歩いていると、ソニープラザというソニーの宣伝ビルを見つけた。中に入ると日本でもおなじみのスターバックスがある。店の人にトラベラーズチェックが使えることを確認して、カフェ・ラッテを購入した。2 ドルくらいの飲み物を 50 ドルのトラベラーズチェックで買って、問題なくお釣りをもらえた。スターバックスは偉い。僕はコーヒーは心臓に悪いと思っているので普段は飲まないが、久々に飲んだカフェ・ラッテは温かくてうまかった。

セントラルパークは昨日も行ったが、朝は爽やかで一層良い。西端の辺りにストロベリーフィールズというビートルズの記念碑があるはずなので探したのだが良く分からないうちに自然史博物館の近くまで来てしまった。時間ももうすぐ 10 時、博物館が開く時刻だ。ストロベリーフィールズ探索はまた今度の機会にしよう。

自然史博物館では人類の進化などを軽く見た後、IMAX シアターへ行った。IMAX とは要するに映画なのだが、スクリーンの大きさが通常の映画よりもずっと大きいので迫力がある。今日上映されていたのはアフリカ象とアマゾン川の 2 つで、僕はアフリカ象を選んだ。無料ではないので両方は選べない。映画はアフリカ象の 1 年間の生態を記録したドキュメンタリーで、映像が美しくて楽しめた。英語は完全には聞き取れなかったのだが、ありがたいことに聴覚障害者のために字幕が出ていたので問題なく理解できた。アメリカは障害者が本当に住みやすい社会だと思う。この字幕の他にも、例えば車椅子用の坂やエレベーターが必ず設置してあって、脚に障害があっても必ず博物館に入れるようになっている。実際に館内では非常に多くの車椅子の人々を見かけた。車椅子を使っているのは身体障害者よりもお年寄りが多い。アメリカが日本よりも正義に満ちていると言うわけではないが、日本よりも正義に基づいて権利を主張しやすい社会であるのは間違いない。

その他、自然史博物館では隕石や宝石、化石などを見た。恐竜の化石が展示の中心になっているが、正直言って恐竜は食傷気味だ。恐竜は大きいというだけで人気があり過ぎる。恐竜以外には昔の魚や両生類の化石などがあって、そちらの方が興味をそそる。恐竜は鳥に進化した小集団を除けば現在の生物には結びつかないのに対し、最初の両生類は人類の祖先だから、その化石は先祖の遺骨みたいなものだ。

それから南下し、ソニープラザに行った。ソニーが宣伝のために作った建物だ。自由に遊べるプレイステーション(もちろん英語版)が並べてあったのでそれで少し遊んだ後、ソニーワンダーという気軽に最新の映像音響技術を学べるところに行った。なかなかの人気施設で、入るには並ばなければならない。無料なのでやってくる人も多様だ。今日行った博物館ではそれなりにお金を持っていそうな人々ばかりだった。ソニーワンダーではまず最初に電子カードをもらい、自分の顔と声を登録する。そうすると、施設内の機械を使うときに自分の顔が表示されたり、自分の声を使って音響の実験ができたりする。混んでいるのでそれほど多くの機械を使えるわけではないのが残念だ。最後に高品位テレビを使った映画があるが、この日の映画はマイルス・デイビスのライブで、ソニーと一体どういう関係があるのか最後まで全く不明だった。ソニーワンダーを出るときに、最初に記録した自分の顔が印刷されている終了証をもらえるので、ちゃんと気合いを入れて写真を撮った方が良いと思う。

近いうちに現代美術館に行くつもりなのでその場所を確認し、それから夕飯を取るためにさらに南下した。今日はチベット料理屋に行くつもりだったが、行ってみるとクレジットカード読み機が故障していてカードが使えないとのことだったので、代わりに近くのランナムというベトナム料理屋に行った。スープとカレーを頼んだらかなり量が多く、最初のスープが終わった時点で満足してしまった。スープはタイ料理のトムヤンクンに味が似ていた。ただそれほど辛くはない。カレーも美味しかったのだが、いかんせんすでに満腹に近かったので、料理をぱくぱく食べるというわけには行かなかった。やはりアメリカだから料理の量が多いのだろう。今日の料理も日本なら 3 人前くらいの量だった。僕は大食いなので別に困らないが、日本人女性にはきついと思う。

ベトナム料理屋は 3 番街の 30 丁目の辺りで、ホテルから近い。しかしすでに日が沈んでいるので場所によっては不気味なところもある。マンハッタンを南北に走る道路(アベニュー)は夜遅くでも人通りや車通りがあって安全な感じがするが、東西に走る道路(ストリート)の中には人がいなくてひっそりしているところも多い。それにニューヨークは東京と比べて街灯が少なく、夜になるとかなり暗くなる。危険な感じはしないが、この街には油断できない雰囲気がある。



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