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1997 年 8 月 17 日 (日曜日)


ブダペストは温泉で有名な町である。市内には数多くの温泉施設がある。最初は一番有名なキラーイ温泉に行ったのだが、残念なことに八月中旬は夏休みということで閉まっていた。仕方なくゲッレールト温泉に行くことにした。ここは波のプールと温泉の両方があるので長い時間楽しめる。一人で行ったのでちょっと孤独だったが、複数で行くと面白いだろう。

窓口では英語がうまく通じず、ためしにハンガリー語を使ってみたら良く通じたのでそのまま会話を続けようとしたら、こちらの言うことは通じるものの相手の言うことが聞き取れず、結局英語で何とかチケットを買った。ハンガリーでは外国語と言ったらドイツ語らしいので、あまり英語ばかりに頼ることはできないが、かと言ってハンガリー語に頼るのも難しい。

最初にプールに行った。プールはアールデコ調の装飾とガラス天井が美しい室内プールと、屋外の波のプールの 2 種類がある。水温はちょっと低めだが、室内にも屋外にも小さめの風呂(水着で入る)が併設されているので体を温めることができる。

波のプールはいつも波を出しているわけではないが、波がいったん出始めるとそのあまりの激しさに笑いが止まらない。一度転んだらプールの端まで流される覚悟が必要だ。そこら中に水に飲まれて転げ回っている子供がいる。大人ですら油断はできない。波を受けた後、1 秒以内に体勢を立て直す必要がある。とにかくプールの中は人々の絶叫で一杯だ。慣れると波に乗って泳いでそのスピード感を楽しむ余裕が出てくる。これをすると体勢を立て直す時間がなくなるのでますます緊迫感がある。ここの波プールは本当に面白くて、1 時間くらい遊んでいたように思う。でも転んだときに指をプールの階段ですって血が出てしまった。過激だ。

プールと温泉のペア券を買ったのだが、プールに入ったら券をなくしてしまった。がっかりだ。仕方なしに帰ろうとすると日本人の若者に声をかけられた。東洋人を見るなりとりあえず「すいません」と声をかけるとはなかなかの度胸だ。彼は日本大学の学生で、ヨーロッパを一人旅しているとのこと。温泉に入ろうとしているのだが入り口が見つからないとのことだったので教えてあげた。ついでにツーリストセンターでもらったブダペストの分かりやすい地図をあげた。

今日は温泉に入るのが目的なので、プールだけでは満足できない。そこで数十分歩いてラーツ温泉に行ったが、日曜日は休みとのこと。つくづくついていない。仕方がないのでゲッレールト温泉に戻って温泉に入ることにした。ハンガリーの温泉にはいくつかの方式があるが、ゲッレールト温泉では日本のふんどしに似たものを付けて入る方式だ。水温は 37 ℃なので日本人にはぬるく感じる。その他にサウナがある。一人でゆったりと使っていたら、50 歳くらいのおじさんがにこにこと話しかけてきた。ハンガリー語は良く分からないのであまり通じなかったが、悪い人ではなさそうだった。ところが僕が風呂を変えてもなぜか良く顔を合わせる。挙げ句の果てにはこっそりと僕の脚に触りだした。やばい、こいつはゲイだ。びびってそそくさと退散してしまった。確かに旅行ガイドには温泉にはゲイがいることがあると書いてあって、丸い風呂の中央にいると恋人募集という意味だとも書いてあったのだが、実際はもう少し大胆なようだ。僕が笑顔だったのが誤解を与えたのか。同性愛者を差別する気はないが、自分に影響が及ぶのは勘弁して欲しい。

夕飯でも食べようとしてぶらぶらとヴァーツィ通りを抜けくさり橋に向かう途中、昼間会った学生と偶然すれ違った。ちょっと話をした後、一緒に夕飯を食べることにした。辺りをうろうろした挙げ句、夕飯はアンドラーシ通りのオープンカフェで取ることにした。外国旅行で楽しいのはこうして見知らぬレストランに飛び込む時だ。僕が頼んだのは七面鳥料理でかなりの美味だった。あらかじめ彼にはハンガリー料理は量が多くてこってりしていることを警告しておいたが、それでも頼んだ牛肉料理を持て余し気味だった。最初は美味しいと言って食べていたのだが、やはり日本人には多すぎるんだよなあ。一般にハンガリー料理は濃厚なので、牛肉料理ではなく鳥料理を頼めば日本人にとって丁度良いと思う。

ブダペストは 8 区と 9 区が比較的危険だと言われている。すでに夜遅いので歩きではなく地下鉄で帰ることにした。その学生も 8 区と 9 区は危険らしいと言っていたにも関わらず、土地勘がないので解散した後まっすぐ 8 区の方に入っていくので笑ってしまった。すぐに引き留め、道順を教えたが、見ていると結局 8 区の方に行ってしまった。人の話を聞いてくれよ…。



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