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1997 年 8 月 18 日 (月曜日)


今日からコファ君とハンガリーの田舎巡り。ブダペストから電車に乗って西へ西へと向かった。ハンガリーの海と呼ばれるバラトン湖へ行くためだ。電車の中は旅行者で混んでいた。学生のバックパッカーが多い。バラトン湖に行く途中の車窓からの風景は、建物が多いブダペストとはうって変わってのどかな田園風景だ。見渡す限りの畑の中にたまに農場があり、ぽつりぽつりと牛がいる。

昼過ぎにバラトン湖に到着。コファ君の高校時代の先生のフトゥシュ氏と合流した。ハンガリー人の 2 人がハンガリー語ではなく英語で流暢に話し、旅行者の僕の英語は今一つというのは笑える。3 人でバラトン湖の周辺をドライブし、軽く食事をとった。ここで食べたのはパラチンタというクレープを小さくしたような食べ物。生地の味は油っぽいクレープという感じだ。中身の味はサワークリームやジャムなど色々あるが、僕はシナモンのが一番美味しいと思った。それと一緒にワインを飲んだ。ハンガリーではワインを面白い飲み方で飲む。そのままストレートでも飲むが、炭酸水で割って飲むのも一般的なのだ。最初はそんなことをして本当に美味しいのかと思っていたが、飲んでみるとこれがいける。甘みの強い白ワインを炭酸ミネラルウォーターで割ると実に美味しい。気軽にどんどん飲める感じだ。

ドライブの途中フトゥシュ氏の彼女の家に立ち寄ったが、彼女が僕にハンガリー式の親密な挨拶をしようとしたのでびびって "Oh no, I don't know that!" と言って断ってしまい、握手ですませてしまった。どういう挨拶かというと、男女で頬をくっつけ合った後に頬にキスし合うというものだ。ハンガリー人同士がそれをしているのを見ても何とも思わないのだが、いざ自分がされそうになると取り乱してしまった。まだまだ甘いな。

バラトン湖周辺は非常に景色が美しい。地平線の彼方まで見渡す限り畑が続いているからだ。自然の景色と言えば山と海しか知らない僕にとって、地平線というのは一種の憧れだ。この平坦な土地の所々に小高いお椀状の丘があり、そこは畑ではなく森になっている。これは固い地層が取り残されたものだそうだ。周りの柔らかい地層は長い年月を経て削られ、今見るような平坦な盆地になったという。ハンガリーは内陸国にも関わらず大抵の場所の高度は 300m 以下で、1000m 以上の山はほとんどないのだ。

バラトン湖は国際的な保養地ということで観光客が非常に多かった。ハンガリーの西のはずれ、ドイツ国境近くなので、ドイツ人観光客が特に多いようだ。泳いでいる人はあまり多くない。水はちょっと濁っているが、意外ときれいだ。水温はあまり高くない。海と違って淡水なのでぷかぷかと浮いているのは難しいが、水を飲んでもしょっぱくないので泳ぎを楽しむのには都合が良い。ヨーロッパの人は泳ぐよりも日光浴を楽しむ人の方が圧倒的に多いというが、バラトン湖でもそれは本当だった。ひたすら泳いでいるのは子供の他は僕一人だった。

夜はフトゥシュ氏の家に泊めてもらった。家の広さは日本とあまり変わりがない気がする。持参していたティーバッグで緑茶を入れて上げたら喜んでいたが、砂糖を入れない茶というのを初めて飲んだらしく、美味しいと言ってはくれるもののあまり熱がこもっていなかった。家族のみんなで回し飲みしていたけど誰もごくごく飲む人はいなくて、僕のところに戻ってきたときにはまだコップに半分くらい残っていた。やっぱり美味しく感じなかったのか。どうもヨーロッパ人は味覚の幅が日本人より狭い気がする。


Plain

バラトン湖周辺の平野、地平線まで続く畑




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