映画「マーズ・アタック!」を見て


5 月 1 日、映画「マーズ・アタック!」を見た。なかなかおもしろい映画だった。以前に似たような題材を扱った「インディペンデンス・デイ」を見たが、それと比べると格段に良く練られた映画だ。

監督がティム・バートンなので最初はあまり期待していなかった。以前に「バットマン」を見たとき、日本人とはかなりずれたギャグセンスに違和感を感じ、あまり楽しめなかったからだ。「バットマン」では、笑う場面であるという明確な標識がないため、ギャグシーンなのか単にださいシーンなのかよく分からないのが多かった。ところが今回の「マーズ・アタック!」では、登場する火星人の造形自体が面白いので、彼らが動いているのを見るだけでも笑える。爆笑するタイプの映画ではないが、にやりとすることは多い。

映画の最初のシーン、空飛ぶ円盤が出てくる時点から楽しい。かなりいい加減なつくりの、明らかに模型と分かるような円盤が、大群をなして地球に飛び立つのだ。そして中に乗っているのは脳ばかりが巨大な骸骨のような姿の火星人なのである。迎える地球人の方はといえば、テレビ写りばかり気にする大統領とか、ラスベガスでホテルを再建することしか考えていない男とか、武器オタクで軍に入隊したばかりの田舎男とか、しょうもない連中ばかりである。そんな連中が火星人に虫けらのごとく殺されていく。殺されるシーンは全く感情を排した、ゲームみたいな感じになっている。火星人の銃に撃たれるとまるで昔の漫画で稲妻に撃たれたときのように、閃光を発した後に骨しか残らないからだ。丸っきり漫画の感覚である。ティム・バートンは火星人の造形に際し、「悪者というより、バッド・キッズを意識した」と言っているが、確かにその感じである。火星人にとって、地球人殺しは遊びでしかないのだ。イースター島のモアイをボウリング代わりにして倒してみたり、地球人のセックスをのぞき見したり、とらえた地球人を手術して犬と合成したり、まったくやりたい放題だ。しかし彼らの姿がユーモラスに描かれているため、たとえ地球人が虐殺されているのだと頭では理解していてもちっとも憎しみを感じない。だからかえって、地球人の反撃が始まって脳が炸裂した火星人の死体がごろごろ転がるようになっても、ゲームでの攻守逆転みたいなもので、別に「やったぜ地球人」という感じにはならない。この冷めた感覚は非常に現代的で、「インディペンデンス・デイ」みたいな愛国心丸出しの映画がいかにも古臭く見えてくる。

アメリカでは今、「マーズ・アタック!」の人形が売れていると聞くが、やはりこのゲーム感覚は子供に一層受けるのだろう。娯楽映画として、明らかにこの映画は一見の価値がある。



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